SS<不器用な男>

 

僕は生まれつき不器用です。

不器用の天才と言われるほどの不器用です。

未だにくつひもが結べないのはもちろん
小学校の家庭科の授業では裁縫の針の穴に糸を通せた事が一度もありません。

手が震えるため字を書くのも下手で漢字のテストは漢字を覚えているのに読めないという理由で0点になることも。
そのせいで高校受験にも失敗し、最底辺の工業高校に進学することになりました。

しかし技術が一番の工業高校で、この僕が活躍できるはずがありません。
自分よりも頭の悪いヤンキーどもでさえも進級しているのに僕は留年です。
屈辱でした。

作業が出来ない為にイジメをうける事も多々ありました。
それも年下からです。
自殺を考えたこともありましたが首を吊る為の縄が上手く結べずにやめました。


そんな僕にも転機が訪れました。
ある日自転車のブレーキが上手くかけれずに壁に衝突してしまった日の事です。
なんとその日を境に僕の手先が器用になったのです!

医者に話をきくと、僕の不器用さは自律神経の乱れから起こる、手の震えが原因だったのですが
事故で神経が刺激され、震えがなくなったらしいです。 


それから僕の人生は大きく変わりました
靴紐も結べるようになり針に糸を通すことも容易く出来ます。
作業もできるようになり高校での成績はみるみるうちにトップに!

これはきっと神様が与えてくれたプレゼントに違いない。
そう僕は思っていました。


しかし現実は良いことばかりじゃありません。
今までダメダメだった僕が学内トップになったのを良く思わないヤンキーどもからのイジメがエスカレートしてきたのです。

暴行からはじまり財布は奪われ物は捨てられ
もう散々でした。


この時やっと分かったんです。
僕が器用になった理由が


僕は天井に縄を結びました。